『ナツメグ』の味や香り、効果効能とは?入れすぎが危ない理由や正しい使い方
肉の臭み消しで思い出す人も多いナツメグ。ハンバーグやひき肉料理で使う人が多いかと思いますが、料理にスパイスとして使う以外にも上手に活用すると嬉しい健康効果を得られることはご存知でしょうか?今回はナツメグの効果や使い方などについて解説します。
2024年10月25日更新
記事の目次
ナツメグとは?
ナツメグとは1本の木から2種類のスパイスが取れることでも有名なスパイスになります。
ナツメグとはどんなもの
ナツメグはインドネシアのモルッカ諸島原産のモクレン目ニクズク科の常緑樹になります。この木の実には種があります。
その種の殻を割って中身を取り出し、粉末状にしたものがナツメグになります。
そして、今回は詳しい説明はしませんが、種の表面の皮もメースというスパイスとして使用されています。
ナツメグの特徴とは?
ナツメグには3つ特徴があります。
・1番の特徴は甘い香り
・基本的には香りづけに使われるため様々な料理に使うことができる
・嬉しい健康効果効能が期待できるので、漢方薬としても使うことができる
ナツメグの名前の由来とは?
ナツメグとはnutmegの日本語読みですが、豆のnutとムスクのmegからつけられたと言われています。
さらに昔にいくと中世英語のnotemugeに由来していると言われています。
ナツメグの語源の意味はムスクの香りがする豆という意味になるそうです。
ナツメグの味や香りとは?
ナツメグの味の特徴とは?
味はほとんどありません。刺激は少ないですが少し苦味があります。
この苦味は加熱すると消えてしまい、甘味が出てきます。
また、風味は空気に触れることで弱くなっていくので、理想は使う時に使う分の粉末を用意することです。
ナツメグの香りの特徴とは?
ナツメグの最大の特徴が甘い香りになります。この香りが肉や魚の臭み消しに利用されます。
そして、その香りは加熱することで引き立つので、仕上げの時にではなく下処理の段階で使うことが基本です。
そのため、加熱前にはちょっと香りが弱いかなというくらいが加熱後にはちょうどよいということが多いので、使いすぎには注意が必要です。
ナツメグのアロマ(精油)の効能や使い方、注意点
ナツメグのアロマは体と心の両方に嬉しい効能を与えてくれます。体への効能は体内のデトックスを助けます。
心への効能はシャープでスッキリとした香りが鎮静化して、温かみのある香りが活力を与えてくれます。
おすすめの使い方としては芳香浴、ホームケア、ハウスキーピングなどがあります。
また、相性の良い香りとしては、柑橘系やスパイス系の香りとブレンドするのがおすすめの使い方です。
ただ、ナツメグは刺激が強い精油であるので、多量に摂取すると副作用が出るとも言われています。
そのため、長期に使用することはおすすめできませんし、使用量には注意して利用することをおすすめします。
妊娠中の方や子どもが使用するのは避けましょう。
ナツメグに含まれている栄養素とは?
ナツメグはビタミンやミネラルが豊富に含まれているスパイスになります。
ナツメグに豊富に含まれている栄養素
ナツメグに含まれている代表的な栄養素は下記になります。
・ビタミン(ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン)
・ミネラル(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・銅・マンガン・鉄・リン・亜鉛)
この中でも特に豊富に含まれていると言われているのが、銅とマンガンになります。
ナツメグに含まれる有効成分
ナツメグにはビタミン・ミネラル以外にも有効な成分が含まれています。
・ミスチリン
飽和脂肪酸の一種になります。ナツメグに豊富に含まれており、食欲増進と整腸作用に効果があります。
夏バテや体調不良による消化不良で食欲が落ちている時、便秘や下痢などのお腹の調子があまり良くない時などに効果を発揮します。
・ピネン
有機化合物の一種になります。ミスチリンと同様に消化器官に働きかけてくれる成分です。
ピネンは胃腸薬の成分としても使用されており、ミスチリンが腸に働きかけるのに対して、胃に働きかけます。
調子の悪い胃の働きを正常(通常)通りに戻してくれる効果があります。
そのため、食べ過ぎで胃がもたれている時などに効果的です。
また、ストレスにより胃の調子が悪い時にも効果を発揮してくれると言われています。
他にも、汗をかかせたり熱を下げたりという作用もあるので風邪の時にもおすすめの成分になります。
・オイゲノール
ナツメグ特有の香り成分の一種で、バジルやローリエの香り成分としても有名です。ナツメグには、このオイゲノールが豊富に含まれています。
主な作用としては殺菌・抗菌・消臭効果があります。
肉や魚の臭み消しとして料理に使われるだけではなく、口臭予防の製品にも使われている成分になります。
また、鎮痛作用もあり昔から歯の痛み止めに使われていたり、胃痛や腹痛も抑えてくれたりする効果が期待できるので胃腸が弱い方にはおすすめの成分になります。
ナツメグゼラニウムとの関係とは?
ガーデニングにも使用されるので園芸店で販売されているゼラニウムの一種の中にナツメグゼラニウムといものがあります。
名前が似ていることからナツメグの一種と勘違いされてしまうこともありますが別物です。
ナツメグがモクレン目ニクズク科ニクズク属の常緑樹になるのに対して、ナツメグゼラニウムはフウロソウ科ペラルゴニウム属の植物になります。
このゼラニウムの香りがナツメグの香りに似ているということからナツメグゼラニウムと名付けられただけになります。
ナツメグの嬉しい7大効果・効能
ナツメグの効果と言えば、肉の臭み消ししか思いつかないという方も多いかもしれませんが、私たちの健康に様々な嬉しい効果効能を与えてくれる優れものなのです。
今回はその中でも代表的な7つの効果・効能をご紹介します。
整腸作用で消化の促進
ナツメグには腸の調子を整えてくれるミスチリンと胃の調子を整えてくれるピネンという成分が豊富に含まれています。
ピネンが胃の粘膜を保護しながら消化をサポートし、ミスチリンが腸内にたまったガスや老廃物を排出するサポートをすることで便秘や下痢の改善に作用し、腸内環境が整えられます。
そのため、胃腸の調子が整えられるので、消化の促進が期待できるのです。
食欲増進効果
飽和脂肪酸の一種でもあるミスチリンには整腸作用だけではなく、食欲増進効果も期待できます。
そのため、夏バテや食べ過ぎ飲みすぎで消化不良、体調がすぐれないなどで食欲不振になってしまった時に効果を発揮すると言われています。
体をあたため冷え性改善
スパイスには体を温めてくれる効果が多いですがナツメグにもあります。
ナツメグには糖質や脂質をエネルギーに変えてくれるビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群が体で不足すると糖質や脂質がエネルギーに変えられずにたまってしまい、冷え性をはじめとする体の不調を引き起こす原因になると言われています。
また、ナツメグに含まれるピネンという成分には発汗作用を促し体を温める効果があるので冷え性の改善に期待できます。
痛みを抑える鎮痛効果
ナツメグは古代中国では定番の鎮痛剤として使用されていたほど鎮痛効果が期待できます。
ナツメグに含まれる香り成分のオイゲノールに鎮痛作用があるのです。
そのため、関節痛や筋肉痛、虫歯などの炎症による痛みや腹痛や胃痛の改善にも使われています。
特に、ひどい場合には患部にナツメグを塗布するのもおすすめです。
口臭予防・改善
ナツメグには香り成分として殺菌・抗菌・消臭に効果を発揮してくれるオイゲノールという成分が含まれています。
オイゲノールの抗菌作用があるので口臭の原因になる細菌の増殖を抑えてくれることを期待できます。
肝臓と腎臓のデトックス
現代人は極度のストレスやたばこ、食品添加物、ダイオキシンなどの空気汚染などの影響により体に様々な毒素がたまりやすい環境で生活しています。
その毒素は肝臓や腎臓にたまりやすいと言われています。肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれるほど肝臓の働きが30%以下にならないと症状が現れない臓器です。
そんな肝臓や腎臓にたまった毒素をデトックスする働きが期待されます。
また、腎臓結石の予防にも効果があるとの研究が報告されています。
ストレス軽減で良質な睡眠
ナツメグには糖質の代謝に関与するビタミンB1の吸収を高めることで新陳代謝が促され、疲労回復の効果を期待できます。
また、香り成分のα‐ピネンが冷えた心を温め、疲れを癒してくれます。
甘くスパイシーな香りが疲労回復を促し、心を癒す鎮静作用があることから良質な睡眠をとるためにアロマ(精油)を利用することがおすすめです。
ナツメグの効果的な使い方
独特な甘い香りがあるナツメグですがその使い方には様々あります。
せっかく使うのであれば効能をしっかりと得られるように効果的に使いたいところです。
ナツメグの賞味期限ってどのくらい?
スパイスは乾燥しているので基本的には腐るものではありません。
そのため、乾燥した冷暗所で保管をするのであれば、半年~1年は大丈夫であると言われています。
ただし、開封して日数がたてば香りも風味も落ちてしまうので、できるだけ早く使用することが理想です。
特にホールよりもパウダーの方が香りも風味も落ちやすいのでなるべく早く使い切るのがおすすめです。
もしくはホールで購入して、使う時に使う分だけミルでひくか、おろし金ですることもおすすめです。
使うのは加熱前に
ナツメグの香りは加熱することでより香りが強くなります。
下準備の段階で使用することがより効果的にナツメグの香りを感じることができる使い方です。
肉料理の臭み消しに
ナツメグと言えばハンバーグというくらい、ナツメグはひき肉と相性の良いスパイスになります。
ナツメグには肉の臭みを消してくれるので肉をこねる段階でナツメグを使うことをおすすめします。
ハンバーグ以外にもコロッケやメンチカツ、ロールキャベツ、ミートソース、など様々な肉料理に使ってみてください。
ポイントは仕上げにではなく加熱前に使うことです。
乳製品の臭みを抑える
ナツメグの独特の甘い香りは生クリームやバターといった乳製品との相性も良いです。
乳製品特有の臭みを抑えてくれるので、ホワイトソースやクリームシチュー、ポタージュなどの加熱前に使うことがおすすめです。
野菜の青臭さを抑える
野菜の青臭さをとってくれることでも有名なナツメグです。野菜の臭みをとってくれますが、それは加熱することで効果が発揮されます。
そのため、ドレッシングと混ぜ合わせて使用するよりも野菜のスープやキッシュなどに使うのがおすすめです。
また、じゃがいもの青臭い臭みをとり、相性が良いので、コロッケやマシュポテト、グラタン、ポテトサラダなどに使うのもおすすめです。
お菓子作りと相性良い
料理に使うイメージが強いスパイスですが、甘いスパイシーな香りを持つナツメグはお菓子との相性も抜群です。
クッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子はもちろん、プリンに使うのもおすすめです。
ナツメグがない時の代用品とは?
ナツメグを使おうと思ったのにナツメグがない!という時に代わりに使えるおすすめのスパイスやハーブはいくつかあります。
ナツメグを使用する目的は基本的に香りづけと臭み消しのどちらかもしくは両方になります。
そのため、香りは異なっても似たような効果が期待できるものはお使いいただけるでしょう。
その代用品として下記のものを使ってみてはいかがでしょうか。
・おろし生姜やにんにく
・ブラックペッパー
・ワイン
・オールスパイス
・ターメリック
・パプリカパウダー
・ローズマリー
・ミント
・セージ
どれも食材の臭みを消してくれる効果が期待できるので、料理や自身の好みにあわせて代用してみてください。
ナツメグの副作用と使う時の注意点
ナツメグは嬉しい効能がたくさんありますが、非常に刺激の強いスパイスであるので過剰摂取してしまうと不調を引き起こしてしまう可能性があるので、摂取には少し注意が必要になります。
ナツメグの毒性とは?
通常、料理に少量使う程度では全く問題ありません。
しかし、大量摂取してしまうと、幻覚作用や頭痛、吐き気、めまい、痙攣などの中毒症状を引き起こす危険性があると言われています。
ナツメグの致死量はどのくらい?
ナツメグのパウダーは小さじ1で約1.5gになります。
そして、ナツメグの推奨量としては肉1㎏に対して0.2~0.5gほどと言われているので、料理に少々使用する分においては全く問題はありません。
しかし、ほぼないことですが過去において1度に5gで幻覚作用や酩酊状態、肝機能障害が引き起こされたとの報告がされています。
また、10g(ナツメグ約2個分)で死亡したというのが2例報告されています。
一度にこの量を口にすることは基本的にはありませんが、子どもなどが知らぬ間に口にしないように注意する必要があります。
ナツメグの具体的な副作用とは
ナツメグの代表的な副作用としては3つ報告がされています。今のところこれ以外の副作用は報告されていません。
・幻覚症状(マリファナに似た幻覚作用があると言われています。脳神経系が刺激されることで現実ではない感覚を感じてしまう危険性があります。)
・トリップ(厳密にいうと薬物による幻覚症状のことになりますが、もう少し広い意味で言うと薬が効いている状態のことになります。ナツメグにおいては、酩酊状態になったり幸福感を得ていたりする状態のことを指します。)
・肝機能障害
ナツメグの注意点
ナツメグは摂取量にさえ注意をすれば全く怖くはありません。
しかし、妊娠中に関しては摂取量に関わらずできれば避けることをおすすめします。
ナツメグには生理を促す作用があり、昔は堕胎薬として使われていたということもあるのでできれば避ける方が良いでしょう。
ただ、外食した際にナツメグが使われたとしてもそのぐらいの量では悪影響はないのでそこまで神経質になる必要はありません。
ナツメグについてよくある質問
料理だけでなく漢方薬やアロマなど多様な使い方があるナツメグですが、詳しく知らない方が意外と多いはず!
ここではナツメグについてよくある質問をピックアップしました!
ぜひ参考にして、ナツメグの知識を深めましょう♩
ナツメグの花言葉は?
ナツメグの花言葉は「しとやか」です。
花言葉のとおりナツメグの花には上品さがあり、香りは甘いながらも落ち着きがある大人のアロマで、シェークスピアは「ヴィーナスの吐息より芳しい」と述べました。
大人らしさの中に甘く可愛らしさも兼ね備えたお花です♩
ナツメグの原産国はどこですか?
ナツメグはインドネシアのモルッカ諸島を原産としています!
ナツメグははるか遠くからヨーロッパに渡るまで大変な労力を要したため、古くからとても高価でした。
たった1ポンド(約454g)のナツメッグを交換するのに、13世紀末のイギリスでは羊3頭、14世紀末のドイツでは牝牛7頭が必要だったと伝えられています。
ナツメグの致死量は小さじ何杯ですか?
ナツメグの致死量は、一般的には一度に小さじ1〜4杯程度(約5〜20g)です。
ナツメグを大量摂取すると、中毒症状を引き起こすリスクが高まります。
具体的な症状としては、吐き気、めまい、幻覚、錯乱、心拍数の上昇などです。
ナツメグは通常の料理で少量使う分には安全ですので、適量を守って使用しましょう。
量さえ守れば嬉しい効能がいっぱいのナツメグを日々の生活に取り入れてみよう
ナツメグの毒性について聞くと使うことにためらいが出るかもしれません。
しかし、1回で5gや10gを使うことはほぼありません。むしろそんな量を使うと美味しく食べられないくらい香りが強くなってしまいます。
そして、摂取量さえ守って入れば問題は全くなくむしろ嬉しい効能がいっぱいのナツメグです。
ぜひ、日々の生活の料理やアロマ(精油)で上手に活用して心や体をお元気にするのに役立ててみましょう。